息をして生き延びて
とまらずに歩いてきた道

思い出と呼んできた古い傷
治る気配はない そんな気もない

後どれくらいのこっているだろう
わたくしが生きる今
あなたとは離れたくないと
思えた今

蝉時雨聞こえていますか
夏の終わりなんてまだ来ないのに
胸が騒ぐのは
どうしてなんでしょうか
あなたが笑うだけで胸が騒ぐのは
どうしてなんでしょうか

金木犀香る風夕暮れの木陰
裏返った落ち蝉一つ

やっと得たい場所に
だっていつか
最後の日は迫る
悲しみがいつ褪せるように
終わりは来る

通り雨だと分かってても
ずっとやまないような気してしまうのは
どうしてなんでしょうか
あなたと濡れならば
やまなくていい とおもってしまうのに

ゆりかえす日々が鮮やか
晴れ渡った空に
白く浮かぶ真昼の月

熱を帯びていつの日にか
わたくしお焚くのはきれいな思い出なのでしょう

この声は聞こえていますか
あなたの終わりなんて信じちゃいないのに
胸が騒ぐのは
どうしてなんでしょうか
こんなに痛いのに
生きていたいのは
どうしてなんでしょうか
苦しいほどにこの世界が眩しく
見えてしまうのは
どうしてなんでしょうか
どうしてなんでしょうか

あなたの終わりなんて信じちゃいないけど
最後の日が今日だって
あなたと同じように笑っていたいのです